○●近代日本語の思想―翻訳文体成立事情●
2016-01-29


近代日本の思想と文化を「翻訳」のキーワードで読み解く。


柳父 章 (著)
発行所: 法政大学出版局
2004年11月25日発行
242ページ

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより) 日本語の文体は近代以後、翻訳によってつくられた―大日本帝国憲法に象徴される翻訳悪文の系譜を分析して近代日本語文の欠陥を摘出するとともに、漱石、志賀直哉、谷崎などによる新文体創出の軌跡をたどりつつ、日本語文における論理と思想の問題点を抉り出す。新たに導入された主語や三人称、句読点、文末語などの使用経緯を思想形成過程として捉え直し、日本文化論に新視角を提示する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
柳父/章
1928年東京生まれ。東京大学教養学科卒業。翻訳論・比較文化論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
第一章 「主語」は翻訳でつくられた 1 序 憲法の問題 1
1 悪文、大日本帝国憲法 2
2 それは、翻訳のせいだった 6
3 明治憲法以前の主語の翻訳 13
4 教育の場での翻訳 18
5 「〜ハ」構文の文法─三上章説を中心に 20
6 「〜は」と「〜が」 24

第二章 「主語」はこうしてつくられた 29
1 論文における「主語」 29
2 「主語」の文法、その論理 31
3 近代日本における「主語」の論理 35
4 漱石の「〜は」への風刺 40

第三章 小説における主語 43
1 小説における人称の「主語」 43
2 西洋市民社会の主人公 46
3 「彼」の文法、その論理 49
4 特別な人物を指す「三人称代名詞」 52
5 「彼は」、「彼女は」への批判 55
6 「彼」「彼女」への抵抗 57
7 やはり、「彼は」、「彼女は」は使われている 60

第四章 「文」は近代につくられた 65
1 日本文には、切れ目はなかった 65
2 句点「。」を打つ苦心 69
3 結局、「文」がよく分からなかった 74
4 「文」概念は入っていたが…… 76

第五章 文末語もつくられた 81
1 「文」がつくられた 81
2 「た。」は過去形か 83
3 過去形「た。」の出現 87
4 近代以前の「口語文」 89
5 少数の作家だけが歓迎した「た。」 93
6 現在形もつくられた 95
7 「ル形」はまともな文型ではなかった 97
8 「デアル。」文がつくられた 102

第六章 日本語はつくられていく 107
1 志賀直哉の翻訳調文体 108
2 「彼」の到達した個人主義 112
3 「彼は……た。」の論理 116
4 漱石の「現在形」 119

第七章 「〜は……である。」文の新しい意味 125
1 歴史における翻訳 125
2 「〜は」の役割が変わった 127
3 書き言葉における「である。」 132
4 「〜は……である。」文の論理 136
5 日本国憲法前文の「〜は」 141

第八章 日本語の論理 147
1 西田哲学の「主語」論理批判 147
2 「述語論理」の説──中村雄二郎、木村敏 149
3 翻訳論の立場から 154
4 西田哲学と時枝文法論 156
5 さらに翻訳論の立場から 160

第九章 A+B→Cの文化論 165
1 「未知」なままでの理解方法 165
2 現代の流行現象から 168
3 異文化「フランス」 170
4 キリシタンはキリスト教徒だったのか? 173
5 キリシタンの「転び」 177
6 「転び」と両立する信仰 179

第十章 漢語の造語力と、意味の空しさ 183
1 「〜は」構文と漢字 183
2 訓読みの時代 185
3 音訓併用の時代 188
4 日本独自の勉強法「素読」 192
5 文字が時代をつくる 195
6 日本近代をつくった漢字 197
7 漢字の特有の機能について 202
8 漢字の「形」の造語力 205
9 漢字の「意味」の造語力 208
10 漢字造語力への思い込み 211
11 「外来語」の造語力 215

第十一章 言葉の限界 221 1 言葉に閉じこめられて 221
2 言葉の裂け目─パラドックス 224
3 堅固な言葉、文字 226
4 差別も文字がつくり出した 228
5 文字以前の言葉の世界 230

おもな参考文献 235
あとがき 239

■「あとがき」の冒頭部分

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