2015-10-11
インディアンの手話の入門書の翻訳と、手話を中心とする随筆集、本の紹介
渡辺義彦(編著)
発行所: 径書房
1986年10月25日発行
340ページ
■商品の説明
内容
本書は、三部構成になっています。第I部はウィリアム・トムキンズの『インディアンの手話』の翻訳であり、ギャリック・マラリーの『北米インディアンの手話』からの図版付き対話例も収録されています。第II部は編著者による手話とことばをめぐる随筆集になっています。第III部ではさまざまな本が紹介されています。
編著者について
渡辺義彦(わたなべ・よしひこ)
1940年10月12日朝鮮の京城(現ソウル)に生まれる。
1964年に大学を卒業後、銀行に就職。
1970年、枚方市教育委員会社会教育課に転職。
1982年5月、楠葉公民館の開設と共に館長となり、
現在に至る。枚方・手話サークル「青柿」会員。
■「まえがき」の終わりの部分
トムキンズの原著は、青少年、とりわけボーイ・スカウト向けに書かれている。マラリーやクラークの本に較べて一般的でわかりやすく、しかも多くの図を用いているところが良い。庶民的な生き生きとした関心が波打っている。ここで紹介されている手話だけで約八百語にのぼる。内容で、余りにボーイ・スカウト向けに偏っている部分は削除した。それから、彼は善意の人であり、インディアンの文化や手話に魅せられ、その研究に情熱を傾けた人だったようだ。しかし、当時のインディアンの過酷な状況にはまったく触れていない。インディアンの眼から見ると、厳しい批判がありうることを、私達は念頭に置くべきだろう。
トムキンズの本が出てから六十年たった今、同化教育の徹底によって手話は共通語の座を英語(米語)に奪われ、一部の長老以外、手話の使い手はほとんどいなくなっているらしい。残念なことである。再び手話が大地によみがえり、生き生きとしたコミュニケーションの手段として復活することがあればと、私は願う。
どんな方がこの本を手にするのだろうか。私の関心を、多くの人々と共有できれば幸せである。そしてそのことが、ろう教育の場で今なお抑圧されている手話の復権と解放につながり、同時に、私達すべての豊かな表現力の回復につながることを、心の底から願っている。
■目次
まえがき 3
I インディアンの手話(ウィリアム・トムキンズ) 13
序 15
北米インディアンの手話の歴史 23
手話の基本 31
手話の単語集 38
インディアン/人の呼び名/衣類/食べ物/住む/からだ/自然/
戦い/動物/交通手段/場所/時間/性質をあらわす/色/
心をあらわす/量/生活/行為・行動/あいさつ・その他
文章のあらわし方 166
練習のための文例 170
スー族、オジブエ族の絵文字 180
手話と絵文字のつながり 192
絵文字による物語 196
絵文字による手紙 204
煙の合図 207
『北米インディアンの手話』(ギャリック・マラリーより) 209
フエリトとテンドイの対話 209
身ぶりによる合図 215
からだの動作といっしょに物を使う合図 219
煙の合図 223
火矢 225
土ぼこりによる合図 226
シャイアン族とアラパホ族の合図 227
II 手話とことばの風景(渡辺義彦) 229
手話とことばの風景 231
ことばがないのにことばがわかる!?/ろうあ者が通訳/手で見る/
からだが反応する/英語みたいな石/ことばと数/点字/
祈りをこめた絵/絵の手紙/絵から文字へ/手話に似た文字/
まず、身ぶりがあった/手話を話すチンパンジー/
ココ、手話で韻をふむ/ココたちの問いかけ/
最初の話しことばと下記ことば/ルソーのことば/音だけで語る
手話の実像を探る 260
手話と「日本語」/手話には文法がない!?/手話と助詞/
イメージの幅/抽象のはしご/抽象語をつくる/
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