○■ゾミア―脱国家の世界史■
2015-07-05


国家に組み込まれないための生き方が浮き彫りにする国家の本質


ジェームズ・C・スコット (著)
佐藤仁 (監修)
池田一人,今村真央,久保忠行,田崎郁子,内藤大輔,中井仙丈 (共訳)
発行所: みすず書房
2013年10月3日第1刷発行
464ページ

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
アカ、カチン、フモン、ラフ…様々な人々が独自の社会を築くインドシナ半島の奥地、ゾミア。この深い山中の文化や生業は、国家を回避する戦略だった。世界の自由民たちが息づくグローバル・ヒストリー。国家による管理の無力さを一貫して追及してきた政治学者・人類学者による、壮大なスケールの“もうひとつの国家論”。
著者について
■著者
ジェームズ・C・スコット(James C. Scott)
1936年生まれ。イェール大学政治学部・人類学部教授。全米芸術科学アカデミーのフェローであり、自宅で農業・養蜂も営む。東南アジアをフィールドに、 地主や国家の権力に対する農民の日常的抵抗論を学問的に展開した。ウィリア ムズ大学を卒業後、1967年にイエール大学より政治学の博士号を取得。ウィス コンシン大学マディソン校政治学部助教授を経て、1976年より現職。2010年に は、第21回福岡アジア文化賞を受賞。

■監訳者
佐藤仁(さとう・じん)
1968年生まれ。東京大学東洋文化研究所准教授。東京大学教養学部教養学科 (文化人類学)卒業。同大学院総合文化研究科博士課程(国際関係論)修了。 ハーヴァード大学ケネディ行政学大学院修士課程(公共政策学)修了。学術博 士。東南アジアを主たるフィールドに天然資源をめぐる政治過程を研究してい る。2013年には、第28回大同生命地域研究奨励賞を受賞。

■訳者
池田一人(いけだ・かずと)大阪大学大学院言語文化研究科講師。
今村真央(いまむら・まさお)シンガポール国立大学地理学部。ハーヴァー ド・イェンチン研究センターフェロー。
久保忠行(くぼ・ただゆき)日本学術振興会特別研究員(京都大学東南アジア 研究所)。
田崎郁子(たざき・いくこ)日本学術振興会特別研究員(京都大学大学院アジ ア・アフリカ地域研究研究科)。
内藤大輔(ないとう・だいすけ)総合地球環境学研究所特任助教。 中井仙丈(なかい・せんじょう)チェンマイ大学人文学部講師。同大日本研究 センター副所長。

■背表紙から
本書のテーマはシンプルかつ深遠だ。スコットは言う、「原始的」 な民俗は、わざわざ、そのような生活習慣を選ぶことで、国家によ る束縛を逃れているのだ、と.
彼らが、焼畑に根菜類を植え、文字を使わず口承で伝え、親族関 係を自由自在に変化させる文化を発達させてきたのは、権力からの 自由と自治のための戦略だった。というわけだ.
さらにスコットの眼差しは、全世界に広がる.アメリカ大陸の逃 亡奴隷によるマルーン共同体.ヨーロッパのロマ.ロシアのコサッ ク……彼らの社会の成り立ちのなかにも,課税や奴隷化を逃れ,自 由を希求する構えが読み込まれていく.
国家による管理の無力さを一貫して追求してきた政治学者・人類 学者による,壮大なスケールの(もうひとつの国家論).

■目次
はじめに ix
I 山地、盆地、国家―ゾミア序論 1
・周縁の世界 3
・最後の囲い込み運動 4
・臣民を作り出す 9
・「ゾミア」―偉大な山の王国、もしくは東南アジア大陸部の跨境域 13
・避難地帯 22
・山地と平地の共生史 26
・東南アジア大陸部のアナーキズム史観に向けて 33
・政治秩序の基本単位 36

II 国家空間―統治と収奪の領域 41
・国家空間の地理学と地勢の抵抗 41
・東南アジアにおける国家空間のマッピング 51

III 労働力と穀物の集積―農奴と灌漑稲作 65
・人口吸引装置としての国家 65
・国家景観と臣民の形成 74
・「読みにくい」農業の撲滅 78
・多様性のなかの統一―クレオールセンター 80
・人口支配の技術 85
・奴隷制 85
・財政面の早くのしやすさ 91
・自滅する国家空間 94

IV 文明とならず者 99

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