◎■人類史のなかの定住革命 (講談社学術文庫)■
2015-05-10


生態人類学の立場から、栽培の結果定住化が発生したのではなく、定住化が栽培を生んだのではないかと分析


西田 正規 (著)
文庫: 272ページ
出版社: 講談社 (2007/3/9)

内容紹介
霊長類が長い進化史を通じて採用してきた遊動生活。不快なものには近寄らない、危険であれば逃げてゆくという基本戦略を、人類は約1万年前に放棄する。ヨーロッパ・西アジアや日本列島で、定住化・社会化はなぜ起きたのか。栽培の結果として定住生活を捉える通説はむしろ逆ではないのか。生態人類学の立場から人類史の「革命」の動機とプロセスを緻密に分析する。(講談社学術文庫)
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
西田/正規
1944年、京都府生まれ。京都大学大学院博士課程退学(自然人類学)。理学博士。1994年から筑波大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
学術文庫版まえがき 3
まえがき(原本) 12

第一章 定住革命 15
1 遊動の意味
2 定住生活の条件
3 定住の動機
4 定住化の環境要因

第二章 遊動と定住の人類史 54
1 狩猟技術の発達
2 温帯森林の拡大と定住
3 定住民優越主義の誤り
4 移動する理由

第三章 狩猟民の人類史 69
1 人類サバンナ起源説の検討
2 熱帯の狩猟採集民
3 文明以前の人類史の枠組
4 中緯度に進出した人類の戦略

第四章 中緯度森林帯の定住民 83
1 農耕以前の定住者
2 生活様式の分類

第五章 歴史生態人類学の考え方―ヒトと植物の関係 101
1 焼物産業とアカマツ
2 行動と環境
3 農耕の出現

第六章 鳥浜村の四季 117
1 湖のほとりに村を作る
2 照葉樹の森の中に開けた空間
3 鳥浜村の生活カレンダー
4 男の仕事と女の仕事
5 自然のリズムと一体の生活
6 今日につながる縄文時代の食事文化

第七章 「ゴミ」が語る縄文の生活 134
1 先史時代は裏口から
2 縄文のイメージ
3 イメージから分析
4 生活の変化
5 人間と植物
6 採集から栽培へ
7 渡来から自生へ

第八章 縄文時代の人間-植物関係―食料生産の出現仮定 148
1 向笠における人間-植物関係
2 人間-植物関係の空間的構造
3 縄文時代のクリ、クルミ
4 人里植物の集中と経済的効果
5 豊かな環境における栽培の伝統
6 中部山地における「農耕化」
7 新石器時代の人間-植物関係

第九章 手型動物の頂点に立つ人類 187
1 手と口
2 脊椎動物の進化
3 視線の回転
4 霊長類の手型化
5 二足歩行と視線
6 ホミニゼーションの背景

第十章 家族・分配・言語の出現 223
1 危険な社会
2 争いのテーマ
3 分配と家族
4 言語

註 261
あとがき(原本) 267

■学術文庫版まえがき
この地球に人類が出現し、さまざまに変化しながら現在に至り、やがて宇宙から消滅してしまうまで、人類が存在した全ての時間を一望してみたい。「定住革命」を構想したことから生じた私のひそかな願いである。
定住社会とは何かという問いかけは、縄文時代の生活戦略を考察する中から生じた。秋の温帯林に豊かに実るクリやドングリ、クルミなどを大量に蓄えて冬を越す縄文時代の生活戦略は、定住を強く促したに違いなく、あるいは、定住生活を前提としてはじめて機能する生活戦略である。それは、年間を通じて獣を追い、狩を続ける旧石器時代の生活戦略とは大きく異なっている。
定住社会の本質に迫るには、その対極にある、頻繁なキャンプ移動をくりかえす遊動生活との比較研究がなによりも有効な手段になる。定住革命の視点とともに、人類の祖先が未だ類人猿であった時代から連綿と続いてきた遊動社会の進化史と、およそ一万年前の地球の温暖化とともに出現した定住社会の進化史との、双方をながめる視界が開けたのである。

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