輸血禍の問題と血液代用液 243
レーリィ現象と伝染病の概念 244
東洋医学への回帰 248
千島学説は百年後の学説か 252
あとがき 254
■「まえがき」から
そして、どうやら人類は自らの手で自らを滅ぼす道に踏み出したように見えます。 何故そうなったのかといえば、それは私たちが精神分化を軽視して、経済を重んじる方向に走ったからです。 これは政治家が悪いからだとか、教育者が無能であるからだとか、誰かに責任を押しつける問題ではなく、 今日の人間の一般的傾向性のなかに潜んでいる問題です。 つまり、ネズミが集団で水に没したという事例が示したように、人類全体が水際に向かって走り出しはじめているのではないかということです。
私たちの生命を脅かしているさまざまな問題に対して、識者はいろんな提案を出しています。 正しい議論もあれば、単に代替的なものもあります。 人類がこの危機を乗り越えるには、現状の部分修正ではもはや間に合わないといえます。根本を変えるということです。 根本を変えるということは、私たちが今までの考えを捨て、新しい哲学をもつということです。
そのひとつの指針として、私は"千島学説"の採用を提案します。
千島喜久男教授は、世界的な生物学者であると共に、哲学者でもありました。科学する人であるとともに哲学する人だったのです。 千島学説は、現代生物学(科学)にことごとく反対しています。いわゆる部分修正の学説体系ではありません。
現代生物学、医学、農学の基礎は、
1、漸進的変異による進化の否定
2、獲得性遺伝の否定
3、生殖細胞の体細胞由来説の否定
4、生命自然発生説の否定
5、細胞新生説の否定
異常の五大否定論から成り立っていて、それが学界に君臨しています。
しかし、千島教授は否定の否定、すなわち五大否定論をことごとく否定する側にまわったのです。 これはどういうことはといいますと、現代科学は間違った基礎の上に立っている幻の楼閣だというのです。 教授は観念論で現代科学を批判したのではなく、その事実を証明して見せてくれています。
千島学説は、異端の説として学界ではタブーになっています。何故タブーになっているかといえば、 それを認めれば既成の生物学、医学は、教科書の第一ページから書き直さなければならなくなるからです。 そして、既成学者たちの現在の研究は、理論的根拠を失い大半が無に帰するからです。
異端の説として、知的好奇心からこの書を読まれる読者もおられることと思います。 それは著者としても異論はありません。千島学説は、考える科学という十九世紀的な愉しさがあり、 科学が決して専門化の独占物ではなく、私たちの身近かなものであると教えてくれているからです。
しかし、著者は本書を異端の書として書いたのでは決してありません。 千島学説には、現代が直面している危機に対して、私たちはどう対処すればよいか、その知恵が示されており、それを紹介したかったのです。
本書を上梓するのに七年余の歳月を費やしました。専門外である一無名作家の仕事として、いささか荷がかち過ぎたきらいはあります。 でも、ここに千島学説の最初の入門書が成ったことは、感慨無量なのです。
一九八三年六月十二日 高槻玉川橋団地の自室にて・著者
■一言:
食べたものが血となり肉となるという言葉を裏付ける腸造血と赤血球分化説。
■書評:
るびりん書林 別館
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